ハムストリングス肉離れ 大橋忠幸 2012年1月19日
病態
ハムストリングスは内側の半膜様筋・半腱様筋、外側の大腿二頭筋からなる。
肉離れは『急に筋肉が切れたように感じるとともに、脱力や痛みを伴う状態』をいう。
ハムストリングスの肉離れは遠心性収縮によって筋腱移行部で損傷する。疾走中に下腿が接地に至る過程や接地から蹴りだす過程で起きやすく、大腿二頭筋(長頭)が最も受傷しやすい。
肉離れの要因としては柔軟性の低下、ハムストリングス筋力のアンバランス、ウォーミングアップの欠如などがある。
診断
鋭い、力の抜けるような大腿後方の痛みなどを本人が感じることが多いため、問診でも容易に推測できる。
ハムストリングスの肉離れではⅠ・Ⅱ・Ⅲ度に分類する。Ⅲ度が最も重症でハムストリングスの完全断裂である。
損傷部に圧痛点があり筋の硬結や陥凹などが重症度に応じてみられる。Ⅲ度に近いほど欠損部を触れるようになるが、数時間経過すると血腫により触れにくくなるので早期に損傷部の診察を行なう必要がある。
徒手検査では、まず腹臥位で膝関節の伸展を行う。Ⅲ度では完全に伸ばすことができない。次に背臥位にしてSLRテストを行い下肢の挙上角度を調べ健側と比較する。軽症ほど健側との差は少ない。
肉離れがⅡ度かⅢ度で迷う場合はMRIによる画像診断が有用である。
治療
筋内の出血や腫脹を軽減させるために重症度に関係なく初期治療はRICEである。
保存療法が主で、Ⅲ度の場合には急性期の外科的修復術(縫合術)を勧める。
トレーナーとしての競技復帰プログラム
0 件のコメント:
コメントを投稿